福岡大学 経済学部

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2008年度

国際会議(ICEWE)開会挨拶より(3月23日)

国際会議(ICEWE)Reception Party閉会挨拶より(3月23日)

今週のひとこと(12月22日〜12月28日)

ベンチャー起業論「ビジネスプランコンテスト」学部長挨拶より(12月20日)

日本学生経済ゼミナール福岡大学大会パンフレット学部長挨拶より(11月20日)

アルゴリズム特許 ― 回遊パターンを正確に推計する方法 ― (9月16日)

自分がいかに新しい価値を生み出すか(4月25日)

学部長からの新入生へのメッセージ(4月9日)

 

国際会議(ICEWE)開会挨拶より

福岡大学先端経済研究センター、経済学部、研究推進部主催

国際会議ICEWE

(International Conference on Econometrics and the World Economy)

開会挨拶より

2009年3月23日(月) 08:55

A203教室

 

Distinguished professors, scholars, and guests;
Ladies and gentlemen,
Good morning!

 

I am Dean of Faculty of Economics, Saburo Saito.

 

I am very happy to be here to give you greetings. First of all, I would like to express our hearty welcome to Fukuoka University, Japan. Welcome to Japan!

 

This year is the 50th Anniversary of our Faculty since its foundation. While we have walked through a half-century, we wish to make this special year as the starting year for the coming next half-century.

 

Our ideal is the fusion or integration of active researches and thoughtful education.

 

Like almost all other universities in Japan, we were eager to send our people to foreign countries to learn culture there, mainly western culture and disciplines.

While it still is important, we also wish to invite people, scholars, researchers, and students from overseas, wish to provide an attractive research environment or education programs, for scholars willing to come and stay to do joint works with us here.

 

Through doing that, we would like to change ourselves.

 

For the ideal, we set up the Center for Advanced Economic Study (CAES) at our Faculty two years ago. To commemorate the establishment of CAES, and with these all in mind, we organized this conference.

 

Again, I am very grateful that we have here today five prominent professors:

 

Professor Hendry from Oxford University; Professor Hendry, please stand up;
(big hand)
Professor Doornik from Holland; Professor Doornik, please stand up;
(big hand)
Professor Horioka from Osaka University; Professor Horioka, please stand up;
(big hand)
Professor Li from Beijing Normal University; Professor Li, please stand up;
(big hand)
Professor Chen from World Bank; Professor Chen, please stand up;
(big hand).
Thank you very much.

 

As you noticed from the program, many scholars from various places far-off from here come to participate in this conference. I am also very grateful for all of you to come to participate in this conference.

 

I hope this conference will be successful to become a stimulating conference.

Please be relaxed and feel at home to exchange your exciting ideas.

 

With these words, it’s time to say the opening.

I would like to declare International Conference on Econometrics and the World Economy open.

 

Thank you very much for your attention.

(big hand)

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国際会議(ICEWE)Reception Party閉会挨拶より

国際会議ICEWE

(International Conference on Econometrics and the World Economy)

Reception Party 閉会挨拶より

2009年3月23日(月) 20:30

ヘリオスホール

 

Attention please!
Attention please!

 

Have you enjoyed yourselves very much?

 

While enjoyable discussions are continuing, it’s time to end this reception party.

 

While I gave you a few words at the opening, again I would like to express my deep thanks to all the participants.

 

My deep thanks also should go to my young colleagues who organized this conference.

Without their enormous efforts, this conference is impossible.

 

Professor Kurita, please come over here to this dais;
Professor Takase, please come;
Professor Tamada, please come over here;
Professor Kagihara, please come;
Professor Wan, please come;
and my secretary, Ms. Tsutsumi, please come over here.

 

They formed a research unit in CAES (Center for Advanced Economic Study), and made a plan to host this conference.

 

To express our deep thanks, I would like to give them a big hand together.
(big hand)

 

Thank you very much.

 

Tomorrow, the conference is to start early in the morning.

See you tomorrow!

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今週のひとこと

福岡大学ホームページ

2008年12月22日〜12月28日

経済学部長 齋藤参郎

 

 今シームレス測位とソーシャルタギングが話題だ。携帯を介しタグ付実空間と意味的相互作用を行える都市、ハイパーテキストシティが近づいている。

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ベンチャー起業論「ビジネスプランコンテスト」学部長挨拶より

2008年12月20日(土)

831教室

経済学部長 齋藤参郎

 

 経済学部長の斎藤です。

 

 まず、ベンチャー起業論「ビジネスプランコンテスト」が、このように10年間も継続していることに敬意を表したいと思います。

 

 私は、ベンチャー起業論やこれに参加している学生諸君を大いに評価するものです。その理由は、2つあります。

 

 1つは、世の中には、自分が社会に、どのような貢献をしているのか、何ができるのか、を問わずに、他者の批判ばかりしている人が実に多い。しかし、諸君たちは、自ら動いて、社会に何か貢献しようとしている点で、大いに評価できます。

 

 もう一つ。皆さん、大学に入った当初、何をしたらいいのか、皆目、見当がつかない人が多かったと思います。現在、大学で一番問題になっているのは、大学に入ってきた学生にいかに早い時点で動機づけを与えるかです。ベンチャー起業論は、そのような動機づけに成功している数少ない試みとして、高く評価しています。君達が、自分達の目標を見つけ、自らの動機づけで、積極的に活動していることはすばらしいことだと思っています。

 

 新規採用で福岡大学経済学部を訪れた若い先生が、こんな印象を述べていました。福岡大学を訪れてみて、キャンパスに活気があり、学生が明るく、生き生きしている。是非、こんな大学に来たい。大学にとって、とてもうれしいことです。そのような印象をもってもらえる大学には、君達のような活動が不可欠なコアだと考えています。

 

 さて、経済学部では、2年前に学部の教育理念を教授会で定めました。それは、一言でいえば、「学問の方法を学ぶことに力点をおいた研究重視の学部教育」です。このようにいうと、学問の方法?、それって何?とあまり好評ではありません。しかし、ここで私は、これは、ベンチャー起業論の活動とも密接に関わる理念である、ということを述べておきたいと思います。

 

 一つ、私の経験をあげます。私は、大学院生のときにエジプトのカイロに行きました。カイロのアズハル大学のところに、ナイル川の原水を引いて、緑化事業をするプロジェクトの社会的評価をおこなうためです。そのとき、水需要の推計をするために、カイロの人々がどのように水を使っているのかを調べたいと思い、現地のアインシャム大学の学生と一緒に様々な階層の人々にインタビュー調査に行きました。色々、調べましたが、情報も少なく、最後はデータで詰めきれないところがどうしてもでてきます。そこで気づきました。何かというと、データで詰めきれないところは、最後は、プランナーとして、責任を負って、自分が決断しなければならない、ということです。これは、リスクです。自らリスクをとるということです。

 

 もう一つ。銀行出身の経営者が、百貨店の立ち上げに関わり、立ち上がったので私の仕事は終わりです、といったとか。それは、おかしいですね。実は、百貨店を立ち上げてからが勝負で、店舗をどのように、運営、経営していくのかが重要だからです。

 

 つまり、自分達がやってきたことが、なぜ上手くいったのか、何が原因で上手くいかなかったのか、そのような条件を明確に論拠立てて、検証する。なぜ、うまくいったのか、いかなかったのかを事後的に検証し、明確な形式知に変換する。これは、事後工学といわれています。

 

 現在の学問体系では、デザインという領域は、科学的に体系化されているとは、未だ、言い難い。ビジネスや社会制度のデザインであれば、完全なものは、ほとんどありえないでしょう。だから、先ほど言ったリスクをとることになる。リスクをとった後は、デザインしたものを動かしながら、事後工学していくことが重要です。

 

 ここに、ベンチャー起業論のようなテーマで、大学と民間が協同、連携していく意義があると私は考えています。

 

 私は、よくいうのですが、民間企業が今まで経験とカンで培ってきたノウハウを、大学と一緒に共同研究し、これを形式知に変換し、次世代の経営資産として継承していく、これが大事です。私自身も、このような観点から、民間企業と連携を試みてきましたが、ようやく理解される時代になってきました。

 

 私は、福岡大学をアジアの核となる大学にしたいと思っています。

 

 福岡大学には理念があります。思想堅実、穏健中正、質実剛健、積極進取です。よくよく考えてみると、これらの理念は、データにもとづいて、事後検証が可能な形で、新しい試みをおこなっていく。いってみれば、プラグマティズムの精神を主張している、と私は思っています。ですから、皆さんも自らの試みを検証可能な形で実践し、そのノウハウを形式知として、次の世代や世界に発信していく、そういうことを是非、実践してもらいたいと思います。

 

 最後に、本日のベンチャー起業論のビジネスプランコンテストが成功裡に終わることを、祈念して、私の挨拶に代えさせていただきます。(拍手)

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日本学生経済ゼミナール福岡大学大会パンフレット学部長挨拶より

第55回日本学生経済ゼミナール福岡大学大会
パンフレット 「福岡大学経済学部長挨拶」より
2008年11月20日

経済学部長 齋藤参郎

 

 この度、第55回日本学生経済ゼミナール大会を福岡大学が開催されることになり、大変、うれしく思いますとともに、心よりお慶び申し上げます。

 

 福岡大学経済学部は、来年で創立50周年を迎えます。半世紀ですが、日本学生経済ゼミナール大会が、半世紀以上、途絶えることなく、継続して開催されてきたことに、驚くとともに、敬意を表したいと思います。

 

 日本学生経済ゼミナール大会では、多くの学生諸君が集まり、日頃の研究成果の発表と討論が活発に行われることと思います。人と人とが、face to faceで議論することの重要性は、強調しても強調しすぎることはありません。普段、一人で思考を深めたり、論文を書いたりするときにも、批判者として想定した他者としてのもう一人の自分と対話することも多いのですが、実際の生身の他者との対話にすぐるものはありません。それは他者との対話が、いつも自分にはない視点や、考え方を発見できる大きな可能性を秘めているからです。

 

 現在、サブプライム問題を発端に、世界経済は、大きな危機に見舞われています。これまで、日本の社会科学の分野では、欧米で生まれた考えや概念をそのまま借りてくることが多かったといえます。これからの日本の社会科学は、新しい概念や考え方、新しい価値を、自ら生み出し、発信していかなければなりません。ぜひ、日本学生経済ゼミナール大会が、新しい知を生み出す契機になってほしいと思います。

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アルゴリズム特許 ―回遊パターンを正確に推計する方法―

研究推進部ニュース&レポート
『Research』Vol.13, No.3, pp.1-2
巻頭言アカデメイアより

2008年9月16日

都市空間情報行動研究所長

経済学部長 齋藤参郎

 

 私たちは、来街者の都心部内での渡り歩き行動を調べる回遊行動調査を、福岡都心部を中心に、すでに10数年にわたり、毎年継続して行っています。最近、講演で、このような回遊行動調査から、人々の渡り歩きのパターンを正確に計測するための方法として、私たち独自の方法を開発し、それがアルゴリズム特許になっている、というと、皆さん、大変、驚かれ、それ以後の話にも耳を傾けていただけるので、よく話題として取り上げています。

 

 図1をみてください。このような式が特許になっています。実は、この式が、私たちが来街地ベース回遊パターンの一致推定法と呼んでいる特許の核の部分です。

 

※ 図をクリックすると拡大図が表示されます。

図1 来街地ベース回遊パターンの一致推定法1)2)3)(特許第3793447号)

 

 日本の特許法では、「発明」を自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの、と定義しています。要するに、自然法則の工学的利用の高度なものを特許といいますので、単なる数式の展開やアルゴリズムだけだと特許になりません。実際、この場合でも単純な式の展開とされ、審査官から拒絶査定がきました。

 

 これに対し、どうしたら特許が通るのか、頭をひねりました。そのときに思いついたアナロジーが、最近、人気になっている雑音防止機能のついた逆位相のヘッドホーンです。それは、まちなかでヘッドホーンを付けても、非常に音がきれいに聞こえるもので、その仕組みは、外から入ってくる雑音を打ち消す波を逆に与えて、自分が聞きたい波をうまく取り出すという機構です。

 

 私たちの都心部回遊行動調査では、ランダムサンプリングをしていますが、実は、都心部に来る消費者は、例えば、都心部に1ヶ月に10回来る人と、1ヶ月に1回来る人では、ランダムサンプリングに当たる確率は、10回来る人の方が、1回来る人よりも、10倍高いわけです。また、この調査では、調査場所を決めて、サンプリングします。例えば、岩田屋には行くが、三越には行かないなど、店によっても、行く場所、行かない場所があります。さらに、より遠くから来た人は、せっかく来たのだからということで、何箇所も商業施設を渡り歩いたり、逆に、近場の人は、いつでも来られるということで、1箇所しか行かなかったり、立ち寄り箇所数に違いがあったりします。これらを各人が持っている波と解釈し、それらを重みとして各人にかけ、それらの波を打ち消して、正確な回遊パターンを推計するというのが、この式のポイントです。これによって、アルゴリズム特許にもみえる特許が取得できました。

 

 さて、この方法の特徴は、回遊パターンを推定することです。パターンというのは、密度のことです。最近、この密度を推定するという特徴から、意外な展開が始まっています。

 

 つまり、どこか1箇所、実数で何人が来ているかがわかれば、密度ですから、その比率にしたがって拡大すると、全体で何人の人がどのように回遊しているかが実数でわかってしまうのです。例えば、私たちは、大名地区でも回遊行動調査をしています。また、大名地区では、すべての出入口に人を配して、カウンターを使って、入ってくる人と出て行く人の数を調べました。さらに、ビームスの前での店前通行量も計測しています。実際、ビームス前の店前通行量を使って、この方法で密度を拡大した大名地区全体の総入り込み者数の推計値は、カウンターによる実測値とほとんど変わらないことがわかりました。
このように、1箇所の実数がわかると、回遊パターンの一致推定法で得られた密度にしたがって拡大すると、大名全体に何人来ているのかが推計できてしまうのです。これは、すごいことです。それは、500m四方で、総入り込み者数も高々4万数千の大名地区であれば、カウンターででもできますが、数百万の入り込み者数といわれる東京の丸の内地区のような巨大で複雑な都心地区では、人海戦術によるカウンター調査など不可能でしょう。

 

 しかし、私たちの一致推定法を用いれば、たとえば、丸ビルへの来訪者数がわかると、丸の内地区全体へ何人の人が来街し、どのように回遊しているのかが実数ベースでわかることになります。実は、私たちの方法の有効性が認められ、現在、私たちは東京の丸の内地区において回遊行動調査を実施しているところです。

 

 最初は、小さな大名地区が出発点でしたが、巨大都市、東京や大阪でも私たちの方法が有効だということで、北ヤード開発で話題の大阪駅周辺での実施や、東京でも丸の内だけではなく、日本橋・銀座を含んだ広域での実施を目指して、いろいろな仕掛けを試みているところです。

 

  1. 斎藤参郎(2006):回遊行動調査装置及びナビゲーションシステム.特許第3793447号.
  2. PDFファイル斎藤参郎・中嶋貴昭(2003):来街地ベース調査によるODパターンの一致推定法の応用 −福岡市大名地区での回遊パターンの推定−, 『地域学研究』, 日本地域学会, 第33巻3号:173-203(994KB)
  3. PDFファイル斎藤参郎・中嶋貴昭・栫井昌邦(2001) :来街地ベースパーソントリップ調査によるODパタンの一致推定法, 『地域学研究』, 日本地域学会, 第31巻第3号:191-208(497KB)

(注)

本稿のPDF、特許に関する情報は以下の福岡大学都市空間情報行動研究所(FQBIC)のホームページよりどうぞ。

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自分がいかに新しい価値を生み出すか

FD Vol.21 Spring

2008年4月25日

経済学部長 齋藤参郎

 

 今までは与えられた課題をこなすだけでよかったかもしれませんが、大学では自主的に問題を発見し解決していく能力を身につけることが求められます。大学生の学力不足を嘆く声もありますが、欧米の新しい考え方をいかに受け入れるかが関心のほとんどであった昔と比べると、自分たちに固有の新しい価値を生み出していかなければならないという認識を共有する点で今の大学生の方が数段進歩していると思います。

 

 経済学部では、「学問の方法」を学ぶことに力点をおいた研究重視の学部教育を進めていますが、これは社会も学問も変革という点では同じだと考えるからです。

 

 これからの日本に求められるのは身近なデータをもとに自ら仮説を立て検証していく力をもった人材です。そこが経験と勘でやってきた今までの日本との大きな違いです。自分たちを取り巻く状況をつぶさに観察し客観的なデータをもとに現状の問題点を発見し解決策を考えていく姿勢を是非身につけてください。それを新たな変革や価値の創造に結び付けていくこと、それが最も大切です。

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学部長からの新入生へのメッセージ

「経済学部指導懇談会」での学部長挨拶より

2008年4月9日

経済学部長 齋藤参郎

 

 皆さん、経済学部へようこそ。心から歓迎いたします。

 

 私が経済学部長の斎藤参郎です。学部を代表して、経済学部の学部教育の理念についてお話したいと思います。

 

 私にも君たちと同世代の息子と娘がいます。親として、彼らに、大学で何をしてほしいかといえば、本当に4年間で自分がやりたいことを見つけてほしいということです。

 

 経済学部の思いもこれと全く同じです。君たちが、4年間で本当に自分がやりたいことを見つけて、大きく自己成長、自己変革してほしい、これが経済学部の願いです。そのための機会と場、つまり、君たちが本当にやりたいことを探せ、そして、大きく自己変革できる機会と場を経済学部では用意していきたいと考えています。

 

 しかし、そうはいっても、大学は、中学校や高校とは違って、君たちに先生方がいろいろと手取り足取りしながら、ずっと付きっきりで指導してくれるということではありません。

 

 大学には、学術の振興による世界への貢献という目的があります。それは経済学部でも同じです。そこで、経済学部では、学部教育の理念を、学問の方法を学ぶことに力点を置いた研究重視の学部教育としています。

 

 この理念は、中学校や高校とは違って、手取り足取りではなく、君たちと、学術の振興による世界への貢献という目的を、一緒に共有し、ともにその目的に向かって協働するなかで、君たちが自分のやりたいことを見つけ、大きく自己変革できる、そういう機会と場を、経済学部は提供していきたいとの考えに立つものです。

 

 私たちは、この理念を実現するため、学部教育に関して、4つのモットーを掲げています。

 

 1つは、教員、学生、職員すべてが真理の前に対等な一学徒として、互いに切磋琢磨するということです。

 

 もう一つは、あたかも人が書いたインターネットに載っている文章を、自分が書いたようにする人がいますが、これは間違いですね。そうではなく、自分の考えを相手に尊重してほしいと思うならば、他者の考えに敬意を払わなければなりません。他者の発想に敬意を払い、自立的な動機付けと問題発見に関わり、持続的な学習を実践するということです。これが2番目のモットーです。君たちの4年間は、人生の中で、一瞬です。世の中に出て、常に自分が新しい環境や変化に対応して、学習していかなければなりません。そういう意味で、自ら動機づけて、常に持続的な学習をしていくことは非常に大切なことです。

 

 3番目は、ややもすると、他の人の意見に自分の意見が流されるという人が多いかもしれません。他者の評価を借りるのではなく、自ら考え、自らの考えを正しいかどうかを検証し、自己自身の評価を確立できるような市民になってほしいということです。

 

 最後は、大学で学んだことをどのように社会に還元するのか、どのように実践して社会の発展に結びつけていくのか、そういうことに心を砕いてほしいということです。

 

 学部の教育理念として、学問の方法を学ぶことに力点をおいた学部教育というと、難しそうですが、他者がどのような考えを持っているかを理解し、また、自らの周りのいろいろな現象やデータをつぶさに観察し、その中から自らの考えを確立していく、これが学問や科学の基本ですので、いろいろな考え方を学んでいただきたいと思います。

 

 最近、大学生の学力不足を嘆く声があります。そういうことを私はあまり気にしないでいいと思っています。それはなぜかというと、私たちが大学生の頃、大学で学んでいたのは、西洋の新しい考えをいかに早く理解し伝えるかでありました。しかし、日本が世界の先進国になって、リーダーシップを求められている現在、西洋の考えを導入するだけでも、また、今まで既存の成功モデルを踏襲するだけでも済むわけではありません。ですから、君たちの世代は、当然自ら新しい価値をつくっていかなければなりません。そういう認識を共有しているはずだと思います。

 

 自ら新しい価値を生みだしていかなければならない、という意識を共有している点で、君たちの世代の方が、昔の世代と比べて、数段進歩していると考えています。

 

 ですから、皆さん、この4年間、ぜひ自分が本当にやりたいことを見つけてください。これからの4年間を振り返って、本当にこの大学で学んでよかったと思えるような、有意義な大学生活を送っていただきたいと思います。

 

 以上で私の挨拶にかえさせていただきます。

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