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2007年度

今週のひとこと(2月25日〜3月2日)

「新任学部長挨拶」より(1月15日)

「演習」の履修にあたって(10月26日)

東アジアの核となる大学をめざして(9月3日)

今週のひとこと(8月13日〜8月19日)

 

今週のひとこと

福岡大学ホームページ

2008年2月25日〜3月2日

経済学部長 齋藤参郎

 

 いま脳研究が面白い。長期記憶に関係する海馬(かいば)。ネズミ実験では昼間の興奮パターンが睡眠中に海馬で早回しで再現されているとのことだ。

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「新任学部長挨拶」より

FD Vol.20 Winter p.7

2008年1月15日

経済学部長 齋藤参郎

 

経済学部の新たな飛躍を

 

 前任期間中に、学部教育の理念・目的を、「学問の方法」を学ぶことに力点をおいた研究重視の学部教育と明確に設定しました。これは、教員と学生が真理の前に対等な一学徒として互いに切磋琢磨し、活発な研究活動を行うことが、質の高い教育環境を形成し、優秀な人材の育成に結びつく、との考えによるものです。そのために経済学部に福岡大学先端経済研究センター(CAES)を新設しました。

 

 次の2年間は、CAESを核に国内外の研究教育機関との連携や研究と教育との融合を図るとともに、学科再編などの改革を実現させたいと考えています。

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「演習」の履修にあたって

平成20年度「演習」募集要項より

2007年10月26日

経済学部長 齋藤参郎

 

 すべての皆さんが、演習を履修され、ゼミナール活動に積極的に参加し、卒業時に、大学に入学してから自分自身が大きく自己成長できたと実感できる大学生活を過ごせることを期待しています。

 

 現在、産業経済学科社会システム分析コースでは、演習が必修になっていますが、その他のコース・学科の皆さんは、演習が選択になっています。演習を履修している人は、経済学科で75%、産業経済学科で80%となっていますが、できるかぎりこれを100%に近づけたいと思っています。

 

 なぜゼミナールへの積極的な参加をすすめるのか、大学教育の本質にもかかわることですので、ここで私の考えを述べておきます。

 

 学修ガイドに書きましたが、経済学部の教育理念は、学術振興による教育・世界への貢献という大学の使命のもと、経済学および関連諸科学における活発な基礎的・先進的な研究活動を行うことを通して、質の高い大学教育の場を提供し、結果として優れた人材の育成に結びつける、という考えです。いわば、「学問の方法」を学ぶことに力点を置いた「研究重視」の学部教育ということです。

 

 皆さんは、「ええー、学問の方法?それがどうして優秀な経済人・産業人の育成にむすびつくの?」と、疑問をもつことでしょう。実は、私はこれらが密接に関連していると考えています。

 

 2006年1月に経済産業省の「社会人基礎力に関する研究会」から中間報告が出されました。研究会は、従来、大人になるにしたがって「自然に」身につくと考えられてきた社会人基礎力が、必ずしもそうではなく、学力や専門知識と相関していない場合が多く見られようになったとの状況認識に立ち、これまで明確にされることのなかった社会人基礎力を明確に定義し、企業が求める人材の明確化と、学生諸君がこれらの能力を育成していくための指針として役立てよう、との問題意識から設置されたとしています。

 

 その中間報告では、コミュニケーション能力など職場や地域社会で活躍するために必要な能力を、社会人基礎力と呼び、その構成要素として、1)考え抜く力(問題発見や問題解決力など)、2)前に踏み出す力(他人を働きかけ、失敗にくじけず粘り強く取り組む行動力など)、そして、3)チームで働く力(他人の意見に耳を傾け、自分の意見を分かりやすく発信する力など)の3つの能力をあげています。

 

 しかし、どうでしょう。これらの3つの能力はいずれも、「学問の方法」を学ぶことに力点を置いた積極的なゼミ活動によって大きく育まれるはずだ、と私は考えます。
実際、ゼミには、仲間との対話、討論があり、仲間の意見に耳を傾け、自分の主張を分かりやすく伝え、理解してもらう必要が生じます。また、仲間に働きかけ、巻き込んで、チームをつくり、現場に足を運ぶプロジェクト研究もできるでしょうし、書物をとおして先人の考えを理解するのみではなく、新しい価値創出にむけた問題発見や思考の枠組みの再構築など、仲間と考え抜くこともできるからです。

 

 さて、これも学修ガイドに書いたことですが、経済学部には、先ほどの教育理念を実践していくときの行動指針、いわば、経済学部のモットーが4つあります。
その一つに、「他者の発想に敬意をはらい、自立的な動機付けと問題発見に関わり、持続的な学習を実践すること」があります。

 

 自分の新しい考えやアイデアに価値を置き、他者からも評価されたいのであれば、当然、他者の新しい考えや発想にも敬意を表さなければなりません。また、仕事でも、単に右から左へと仕事を動かすだけでは、発展はありません。とくに、日本社会や企業が「既存の成功モデルの踏襲」から「新たな価値の創出」を求められる時代になった現在、常に、仕事が置かれている背景や文脈を考え、新たな問題発見や問題解決に努めることが大切です。

 

 さらにあります。人生は長いですから、一番大事なことは、自分自身を常に動機付けすることです。このような自律的な動機付けができなければ、生涯にわたって持続的に学習することはできません。

 

 社会に望まれる人物像に、知力、行動力のほかに、重要なものとして、「志」がよく挙げられます。「夢」とか「志」とは、このような自律的な自己動機付けが大きな役割を果たしていると私はみています。

 

 先に、「学問の方法」を学ぶといいましたが、「学問」というと、難解な本をよみ、重箱の隅をつつくような議論をする、といったイメージが持つかもしれません。昔の大学では確かにそうかもしれませんが、大学も変わり、学問・科学も大きく変化しています。

 

 現代社会が抱える課題や現場での問題、また、他者の研究の流れや文脈の中に、自分の考えを位置づけ、新たな問題発見と問題解決につなげていくこと、これが「学問の方法」と私が考えているものです。

 

 この意味からすると、課題解決を迫られる、日々の職場での仕事の進め方と大きな違いはないといえます。ただ、その論拠の示し方や議論の方法が異なるだけだと考えています。

 

 大きな違いは、経験と勘に頼るのではなく、これらに含まれるノウハウや知恵(暗黙知)を、証拠となる事実を論拠として提示しながら、明示的な知として形式化していこうとするところにあるといえるでしょう。

 

 しかし、この違いも科学の進展や社会の発展につれ狭まってくると思います。
実際、団塊の世代が、大量にリタイアし、彼らのノウハウをどのように明示的な形式知として次世代に伝えていくか、また、日本発の情報を海外に理解可能な形でどのように発信していくかが、これからの日本社会、日本企業の大きな課題だと考えられるからです。

 

 以上、「学問の方法」を学ぶことに力点を置いた学部教育という経済学部の教育理念の実現にとって「演習」の履修が不可欠であることを述べてきました。さらに、「自律的な動機付けによって生涯にわたって持続的な学習を実践する」という姿勢も、少人数での対話型の「演習」の履修によってはじめて伝えることができると考えます。

 

 ぜひ、すべての皆さんが演習を履修されることを期待しています。

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東アジアの核となる大学をめざして

『学報』 No.356

2007年9月3日

経済学部長 齋藤参郎

 

はじめに

 私は、1984年に本学に着任以来、現場から学ぶことをモットーに、自らの研究のあり方を模索し、地域の人々や学生から教えられ、切磋琢磨しながら、2000年に都市空間情報行動研究所を設立し、地元や国内外で回遊行動研究の福岡大学と認められるまでにいたりました。これを可能にさせたのは、異端を許容し、私学独自の学問を育て、展開させてくれた、本学の懐の深さであると思っています。この意味から、本学に育てていただいたとの思いはつよく、本学でこれから独自の研究や教育を展開しようとする意欲ある人々を掘り起こし、支援していきたいと思っています。

 

 本学の最大の課題は、本学がもっている潜在力を十分に活かしていない、ことです。その大きな原因は、本学が目指す目標、理念を、これまで、トップが明確にメッセージとして伝えてこなかったことにあると考えます。私が描く本学の目標は東アジア、さらには、世界の核となる大学です。

 

目標

 福岡大学を、東アジアの核となる大学に進化させることを目標に掲げます。そのためには、研究、教育、医療、地域への貢献が不可欠です。私学としての健全な財政経営のもと、学術による世界への貢献、高度な人材の育成、医療への貢献、地域の国際化への貢献を目指します。

 

戦略

 目標を実現するためプロセスを、教職員、OB、地域に開放し、共に進化することで、本学の国際化とともに地域の国際化に貢献する、オープンプラットホーム(OP)の戦略をとります。また、日常の業務の目標に、過去の事例の踏襲から、新しい価値の創造を掲げ、大学が自分に何をしてくれるかではなく、自分が大学に何を貢献できるか、の意識改革を引き起こす誘因を導入します。

 

研究・教育・医療の更なる飛躍

 本学には多様な人々がかかわっています。これらすべての人々の心の中に醸成される本学の魅力価値を最大にすることを目指します。

  • 研究

     本学の特徴となる独自の学問や研究分野の育成を図ります。新しい学問や時代の流れに応じて、学部や学科の再編や研究領域の再編を行なって大学の価値を高めます。付置研究所に教育機能をもたせ、研究と教育の融合を進め、高度な人材の育成を目指します。経済学部先端経済研究センターのように、意欲ある研究者が、国内外との共同研究や提携を積極的に推進できる体制を整えます。

  • 教育、戦略的国際化

     次世代のリーダーに求められるものは、既存の成功モデルの踏襲ではなく、新しい価値の創造です。入学時の早い段階で学習に対する強い動機付けを与えられる教育プログラムを提供し、学びの方法を学ぶことに力点をおいた学部教育を展開します。入学時から卒業までICTを活用した個別学習ニーズへの対応できるステップアップ支援ナビシステムを、企業、研究者を巻き込んだOPで開発し、本学のノウハウを蓄積します。東アジアでの分校の設立、福岡をフィールドに少子高齢化やまちづくりを日本の学生とともに学ぶといった、東アジアから学生を呼び込める、魅力ある日本情報発信型の教育プログラムの提供、奨学金の創設を行ないます。 入学時に比べ卒業時に大きく自己成長できたと自他共に認め、本学で学んで本当によかったと思える機会と環境を提供します。

  • 医療

     大学病院で初めて地域医療支援病院の指定をうけた筑紫病院のように、本学独自のモデルを生み出し、競争力ある、新しい大学病院の価値を創造する必要があります。自己責任の所在を明確にし、そのための資源と権限の集中と分権化を図ります。

 

産学連携・キャンパスまちづくり

 七隈地区、烏帽子地区など、整合的なキャンパスまちづくりを推進します。同時に、人工芝の実験で行なったように、太陽光発電、地球温暖化対策など、OPによる、地域、企業、研究者を巻き込んだ試みを組み込み、本学の経営理念の先進性をアピールします。

 

人事・組織の改善

 業務と組織を再編し、適正人員配置と負担の公平を図ります。本学独自の報酬体系、努力したものが報われる誘因の導入によって、提案、行動する組織への意識改革を促します。

 

財政運営・意思決定の明確化

 予算と連動した事業計画の制度化を行ないます。部門や学部ごとの収支指標を整え、学部の分権独立化を図ります。単位制と連動した授業料の透明化を図ります。

 

おわりに

 私の行動理念を掲げておきます。

  1. 教員、学生をはじめとする本学で学ぶ者すべてが、真理の前に互いに対等な一学徒として、ともに学び切磋琢磨すること。
  2. 他者の発想に敬意を払い、自立的な動機付けと問題発見に関わり、持続的な学習を実践すること。
  3. 他者の評価を借りるのではなく、自ら考え、自らの考えを検証し、自己自身の評価を形成できる自立的な市民であること。
  4. 自らの考えを社会の中で、どのように実践し、社会の発展に寄与できるかに心を砕くこと。

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今週のひとこと

福岡大学ホームページ

2007年8月13日〜8月19日

経済学部長 齋藤参郎

 

 私の造語、都市エクイティとは、来訪者の心の中に醸成される都市の魅力資産価値をさす。まちづくりの目的は、都市エクイティを最大にすることだ。

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