福岡大学都市空間情報行動研究所(FQBIC)

福岡大学都市空間情報行動研究所概要

名称

日本語表記
福岡大学 産学官連携研究機関 都市空間情報行動研究所 (略称:都市研)
英語表記
Fukuoka University Institute of Quantitative Behavioral Informatics for City and Space Economy (略称:FQBIC)

研究内容

福岡大学都市空間情報行動研究所(FQBIC)は、平成12年に文部科学省の学術フロンティア推進事業に認定されて設立され、消費者の回遊行動の実証的研究をもとに、まちづくりの科学的方法を開拓してきました。その一つが、来街地ベース調査にもとづく回遊パターンの一致推定法(consistent method to estimate consumer shop-around patterns from on-site surveys)で、はじめて、まちに何人の入込来街者数(the net number of incoming visitors)があるのかを推定する理論的方法を確立しました。消費者回遊行動調査(on-site surveys of consumer shop-around behaviors)を、福岡、長崎、熊本、宮崎、鹿児島などの九州主要都市の都心部で毎年実施し、調査を通して、地域と協働関係を確立し、これらの地域の課題の解決に取り組んでいます。現在、ビッグデータやIoTを活用し、まちの価値(the value of a town)を高めるための都市エクティマネジメントシステム(town equity management system)のビジネスモデルを構築する研究開発を行っています。


Established in 2000 with designation from Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology as an Academic Frontier Promotion Center, the Institute has pioneered scientific methods of urban development based on empirical research concerning consumer shop-around behaviors. One of its contributions is the consistent method to estimate consumer shop-around patterns from on-site surveys, which first establishes a theoretical foundation for estimating the net number of incoming visitors to a town. On-site surveys of consumer shop-around behaviors have been conducted every year in city center commercial areas of major cities in Kyushu, including Fukuoka, Nagasaki, Kumamoto, Oita, Miyazaki, and Kagoshima. Through these surveys, the Institute establishes collaborative relations with these areas to solve their urban development problems. Its R&D now focuses on building a business model for town equity management system utilizing big data and IoT to enhance the value of a town.

研究所の目標

本研究所では、発足以来、論文の公刊は当然のこととして、次のような目標のもと、活動を行います。

  1. 大学院後期課程やポストドクターの学位取得を推進すること。
  2. ビジネスモデル特許などを通し、研究成果の社会的技術化や産業化をはかること。
  3. 学部教育・大学院教育との融合をはかること。
  4. 研究所の活動を広く知ってもらうため、積極的に学会で発表していくこと。
  5. 講演や研究会開催など、地域に研究成果を公表し、地域との連携を深めること。
  6. 海外との研究ネットワークを確立すること。
  7. 学会開催など学会活動に積極的に関与すること。
  8. 産業界との共同研究を通し、産学連携を積極的に推し進めること。

学術フロンティア推進事業

第1期(2000年〜2003年)

都心商業システムの国際比較研究

これは、福岡大学がこれまで福岡市などでおこなってきた消費者の回遊行動の調査手法や考え方を世界に広げようというもので、中国・上海の同済大、韓国・釜山大学、ヨーロッパ小売サービス研究所、上海都市総合交通研究所、東京工業大学、慶応義塾大学の研究者らと共同で、東アジアの諸都市(上海、台北、釜山)に回遊行動調査を実施しました。

「知的パーソナルナビゲーションシステムの開発と展開」プロジェクト

これは、地元企業と開発コンソーシアムを組んで、回遊行動研究で得られた街の構造と消費者の流れの関係などのデータを活用し、携帯型の端末を通じて、道順などの交通情報、個人の趣味や目的に合わせ、街の楽しい歩き方、上手な歩き方などのプランを提供しようというものです。

第2期(2004年〜2007年)

本研究所の第1期の研究活動に対して、文部科学省より高い評価を得ることができました。そして、さらにこの2つの研究プロジェクトを発展させるため、新たな研究活動計画を文部科学省に提出したところ、文部科学省から認められ、3ヶ年の継続が決定しました。

FQBICの第2期では、第1期の2つのプロジェクトと実行しました。

東アジア巨大都市における消費者行動の国際比較および都市政策研究

これは、急激に変化する東アジアの巨大都市の商業環境を踏まえ、これまでの消費者行動調査を、定点観測として、継続して実施し、消費者行動の適応と商業環境の変化予測を行っていくことです。

ハイパーテキストシティ社会実験研究

これは、第1期の研究プロジェクトの構想を、社会実験によって,社会技術化し,産業化していく可能性を探ることです。このプロジェクトで、本研究所が開発した「回遊パターンの一致推定法」が特許になったこと,知的パーソナルナビゲーションの知的機能の実現に実現に向けた第1歩として、回遊行動における行動ルールの抽出やベイジアンネットによる回遊行動の確率的因果推論モデルの提案ができるようになりました。